記事中での引用の書き方を徹底解説!【URLのみはNG?】
- 公開日:2021.08.07
- 更新日:2024.05.27
- 記事の書き方
そのため引用する際は細心の注意を払わなければなりません。
この記事では著作権法に触れつつ、著作物を使う場合に求められる条件を解説します。
また著作物の種類に応じた正しい引用の書き方もご紹介します。
1.記事の引用とは?
-
「引用」:他人の著作物(文章や画像など)をそのまま自分の文章の中で使用(変更しない)。主体となるのは自分の文章「転載」:他人の著作物をそのまま自分の文章の中で使用(変更しない)。主体は他人の著作物になり、基本的に著作者の許諾が必要「参考」:他人の著作物の情報を要約。書籍・雑誌など目に見える著作物以外に、人の意見なども要約の対象
「参照」:他人の著作物の情報を要約。書籍・雑誌など目に見える著作物が対象
「出典」:情報の出所
関連記事:「記事への転載は要注意!著作権侵害で罰金1,000万円!?」
本記事では、引用にフォーカスして解説していきます。
2.記事引用の5つの条件
引用は他人の著作物を使用する行為です。
そのため、基本的には著作者に許諾を得てから使用するのがルールです。
第三十二条 公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。
2 国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人が一般に周知させることを目的として作成し、その著作の名義の下に公表する広報資料、調査統計資料、報告書その他これらに類する著作物は、説明の材料として新聞紙、雑誌その他の刊行物に転載することができる。ただし、これを禁止する旨の表示がある場合は、この限りでない。 [注1]
このように使用したい著作物がWebサイトや書籍などに公表されていて、常識的な使い方がされている限り、著作者の許諾なしでの引用が認められています。
また2項に示されているとおり、国や地方公共団体による公の資料も使用可能です。
例えば「個人情報保護ガイドライン」「調査統計資料」「労働経済白書」などの転載もできます。
引用における注意事項
他人の著作物を自分の著作物の中に取り込む場合,すなわち引用を行う場合,一般的には,以下の事項に注意しなければなりません。(1)他人の著作物を引用する必然性があること。
(2)かぎ括弧をつけるなど,自分の著作物と引用部分とが区別されていること。
(3)自分の著作物と引用する著作物との主従関係が明確であること(自分の著作物が主体)。
(4)出所の明示がなされていること。(第48条)
(参照:最判昭和55年3月28日 「パロディー事件」) [注2]
2-1.条件1:引用の必然性がある
1つ目の条件は「記事内で著作物を引用する必然性があること」です。
何かを説明するために、特定の著作物の文章や画像を示す必要があれば、この条件を満たせます。
例えばある写真の論評を行いたい場合「○○というタイトルの写真は・・」と文章のみで説明するのは無理です。
当然読者のために該当写真が掲載されなければならず、この場合は必然性があるといえます。
しかし同じ写真を記事の冒頭に使い、まったく関係のない話題で記事を書くとしたら、必然性は認められません。
2-2.条件2:引用箇所と自分の著作物の区別がはっきりしている
2つ目の条件は「引用箇所と自分の記事の内容との区別が明確であること」です。
どこが引用箇所で、どこがオリジナルの文章なのかをはっきりさせる必要があります。
具体的には以下のような方法で区別します。
- 記号(” “や「」など)で引用箇所をくくる
- 引用箇所全体を網掛け・色付けなどして目立たせる
- 改行したり行頭の位置を変えたりする
- 引用タグで引用箇所を囲む
2-3.条件3:自分の著作物がコンテンツの主体
3つ目の条件は「オリジナル文章と引用箇所とを比較した場合に、オリジナル文章の方が量的にも質的にもメインになってること」です。
別の言い方をすると「オリジナル文章が主で、引用箇所が従」という主従関係が成り立っている必要があります。
引用箇所はオリジナル文章において、あくまでサブ(従)の存在であるべきです。
主であるオリジナル文章の根拠を示すために使われますが、決してメインコンテンツにはなりません。
もしある記事コンテンツが引用箇所のみで成立していたり、オリジナル文章はあるもののわずかしかなかったりすれば、正常な主従関係ではなくなります。
2-4.条件4:出典が明らかになっていること
4つ目の条件は「引用箇所の出典が明らかにされていること」です。
つまりどこから引用しているのか、情報のソースをはっきり明示する必要があります。
このルールの根拠となるのは「著作権法第48条」です。
同法の1項には以下のように規定されています。
第四十八条 次の各号に掲げる場合には、当該各号に規定する著作物の出所を、その複製又は利用の態様に応じ合理的と認められる方法及び程度により、明示しなければならない。
一 第三十二条、第三十三条第一項(同条第四項において準用する場合を含む。)、第三十三条の二第一項、第三十三条の三第一項、第三十七条第一項、第四十二条又は第四十七条第一項の規定により著作物を複製する場合 [注3]
また2項には以下の規定があります。
2 前項の出所の明示に当たっては、これに伴い著作者名が明らかになる場合及び当該著作物が無名のものである場合を除き、当該著作物につき表示されている著作者名を示さなければならない。 [注4]
2-5.条件5:勝手に改変しない
5つ目の条件は「引用箇所を勝手に改変しないこと」です。
最初の定義にもあったように、引用とは他人の著作物を「そのまま」自身の著作物に反映させることです。
つまり出典となる文章を書き加えたり削除したりすることは許されません。
画像を加工することもNGです。
この点の根拠は「著作権法第20条」に以下のように示されています。
第二十条 著作者は、その著作物及びその題号の同一性を保持する権利を有し、その意に反してこれらの変更、切除その他の改変を受けないものとする。 [注5]
このように基本原則として、引用時は修正せずにそのまま著作物をコンテンツに反映する必要があります。
ただし例外はあります。
同法の2項では、特定のケースで修正が認められる場合を指摘しています。
例えば以下のようなケースです。
- 学校教育上、特定の言葉の表記を変えるケース(漢字→ひらがななど)
- 建築物を必要に応じて増改築・修繕するケース
- 映画のテレビ放映時にコマーシャルを入れるケース
例えば3つ目の条件の主従関係については、細かく「コンテンツ全体の○%までの割合なら引用OK」という数値はありません。しかし妥当な範囲でこれらの条件を遵守することはマナーであり、広く記事コンテンツを公開するライターにとって意識すべきポイントです。
3.画像やSNSの引用について
3-1.フリー素材にも著作権はある
3-2.TwitterやYouTubeの「埋め込み」は問題なし!
TwitterやYouTubeなどのSNSには「埋め込み」と呼ばれる機能が存在します。
この機能を利用して記事に投稿内容を反映するのは問題ありません。
Twitterの規約によると、投稿者はツイートをパブリック公開した時点で、その内容が世界中で閲覧可能になることを承認しているとみなされます。 [注6]
そのためTwitterが提供している公式の埋め込み機能を利用する分には、著作権侵害を気にする必要はありません。
4.いろんな記事からの引用の書き方解説
著作権や引用の条件について押さえたら、今後は記事内の引用の書き方を学びましょう。
引用元(出典別)の書き方を解説します。
4-1.Webサイトの記事引用の書き方
Webサイトの場合は以下の情報を加えます。
・ライター名「記事タイトル」サイト名, 記事公開日もしくは更新日(最終閲覧日:○○○○年○○月○○日)
・サイトURL
-
・ライター名 記事 太郎
・記事タイトル ポータブルクーラーおすすめ10選
・サイト名 SEOオムニバス
・記事更新日 2021年7月15日
・最終閲覧日 2021年7月20日
・サイトURL https://○○○.co.jp出典:記事 太郎「ポータブルクーラーおすすめ10選」SEOオムニバス, 2021年7月15日更新(最終閲覧日:2021年7月20日)
https://○○○.co.jp
4-2.新聞の記事引用の書き方
新聞の場合は以下の情報を加えます。
・『新聞名』発行年月日「記事タイトル」
-
・新聞名 SEO新聞
・発行年月日 2021年7月15日朝刊1面
・記事タイトル ポータブルクーラー市場が活況
出典:『SEO新聞』2021年7月15日朝刊1面「ポータブルクーラー市場が活況」
4-3.書籍の記事引用の書き方
書籍の場合は以下の情報を加えます。
・ライター名『書籍名』出版社名,出版年月日,ページ数
-
・ライター名 記事 太郎
・書籍名 ポータブルクーラーのすべて
・出版社名 SEO出版
・出版年月日 2021年7月15日
・ページ数 p.100出典:記事 太郎『ポータブルクーラーのすべて』SEO出版,2021年7月15日,p.100
4-4.画像を引用する場合
画像の場合は以下の情報を加えます(Webサイトの画像)。
・ライター名「記事タイトル」サイト名, 記事公開日もしくは更新日(最終閲覧日:○○○○年○○月○○日)
・サイトURL
4-5.論文の記事引用の書き方
論文の場合は以下の情報を加えます。
・論文の著者名「論文名」『書籍名や雑誌名』巻号, 出版社名,出版年月日,ページ数
-
・論文の著者名 記事 太郎
・論文名 ポータブルクーラーのすべて
・雑誌名 家電マニア
・巻号 50号
・出版社名 SEO出版
・出版年月日 2021年7月15日
・ページ数 p.100出典:記事 太郎「ポータブルクーラーのすべて」『家電マニア』50号, SEO出版,2021年7月15日,p.100
・論文の著者名「論文名」サイトタイトル, 発表年(最終閲覧日:○○○○年○○月○○日)
・サイトURL
5.記事で引用するときの2つの注意点
記事内で他人の著作物を引用する場合は、いくつかの注意点があります。
意識していないと思わぬトラブルに巻き込まれる恐れがあるため、参考にしてください。
5-1.オリジナルのソースから引用する
非常に重要な点として、引用は原則としてオリジナルのソースから行いましょう。
誰かが引用したものを引用するのではなく、原典から引用することが鉄則です。
引用の引用は「孫引き」と呼ばれます。
孫引きではなく、可能な限り原典から直接引用するようにしてください。
例えば大元の資料を引用しているように見えて、実は中身が改変されているかもしれません。こうした問題を予防するためにも、原則としてオリジナルのソースから引用するようにしましょう。
5-2.信用できる情報を引用する
真実味のない情報やあやしい情報元からは引用しないのも大事です。
国家機関や企業の公式HPなどの情報は信用性が高いですが、一個人の意見や予想・観察などは信頼性がありません。
例えばIT業界の今後の動向について記事を書いているとします。
そこで厚生労働省が「IT業界の市場予想」というデータを活用します。
公的機関が提供しているデータであるため、読者は記事の内容を信頼しやすいでしょう。
では、誰だかわからない個人のブログに「IT業界は今後5年以内に衰退します」という文章があるとして、それを引用したらどうでしょうか。
記事の質は上がりませんし、そもそも引用の必然性があるとは思えません。
関連記事:「記事執筆の仕事はどうやって始めればいい?おすすめ業者も紹介」
6.まとめ
記事の引用をする場合は、著作権法に留意することが欠かせません。
引用は著作者の許諾がなくても、一定の条件を満たせば文書や画像などの引用は可能です。
自身の記事コンテンツに何らかの引用をしたい場合は、今回ご紹介した5つの条件や注意点・ケース別の引用の書き方を参考にしてください。
[注1,3,4,5]引用:「昭和四十五年法律第四十八号 著作権法」e-GOV法令検索, (最終閲覧日2021年7月17日)
[注2]引用:文化庁「著作物が自由に使える場合」文化庁公式HP, (最終閲覧日2021年7月17日)
[注6]参照:「Twitterサービス利用規約」Twitter公式HP, (最終閲覧日2021年7月17日)
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